2019年の年末に始まったコロナ禍ですが、この前代未聞の新型ウイルスにより日本はもとより全世界が混乱の渦に巻き込まれる事態となりました。
医療現場の逼迫や危機が叫ばれる中、介護業界にも激震が走ったと言っても過言ではありません。
今日は少しだけ、その介護業界について私なりの思いを綴りたいと思います。
介護従事者になってからまだそんなに歳月は過ぎていないので、私なんかよりももっと長く現場を見てきた諸先輩方がごまんと居られる中で経験の浅い私があまり多くを語ることも出来ませんが、ミドルエイジと呼ばれる世代になると自分の親の介護問題が生じてくることにより介護従事者の立場だけでなく被介護者を抱えた家族の気持ちについても色々深く考えられるようになりました。そして、そのことにより介護現場が抱える様々な問題についても第三者の視点から物事を見れるようになったことで介護現場というものが如何に大変かが少しだけ判ってきたような気がします。
「自分の親を見るだけでも大変なのに、それどころか何十人ものお世話をしなきゃならないような介護士やってるなんてホント凄いよね~」と言って下さる方が居られます。
「うちの親をちゃんとみてくれてるの」と家族様からの疑問の声もよく耳にします。
「ワシをなんやと思ってるんや?」というご利用者様の苦言もまたよく耳にします。
職場からは「利用者様の意志や思いを優先して」と言われる反面「感情移入していたら仕事が捗らないでしょ」や、「決まった通りのことをして」などの声が常に飛び交っています。
色んなところからの板挟み状態での仕事です。もちろん、このような状況下で働くのは何も介護士だけではありませんが。
今でも「介護職」と聞くと汚いから苦手と仰る方もたくさん居られます。確かに、人の下(しも)の世話を担うことは綺麗とは言い難い部分もありますね。しかしながら、自分たちの今を築いてくれた大先輩方のお世話をしているのだと思うと学べることも沢山あります。
私は昭和生まれですが、自分が生まれ育った時代には今とほぼ変わらない生活がありました。でも、ほんの少し前の時代を生きてきたお年寄りには戦前、戦中、戦後の中で生きることを経験された方も多く、苦労の中で培われた気性や知恵というものは日々の暮らしの色んな場面で垣間見ることが出来たりもします。背景を理解し、今を受け容れるということはなかなか簡単に出来ることではありませんが、いつどの時代に於いても介護人材に求められることは傾聴や理解と柔軟な対応ではないかと思うのです。
また、介護現場いわゆる企業側に求められるのは色んなタイプの人材に対する理解と受け容れであると思います。それらがうまく融合すれば介護現場の人手不足も解消されていくのではないかと…これはあくまでも現場サイドの希望ですが。
昨今、諸外国から介護士を目指す人材を受け容れている介護現場も増えてきました。
言語や習慣の異なる人たちが頑張っている姿を見るたびに私達も頑張らなきゃと元気を貰えることも多くありますが、根底にあるのは人が好きで優しい心を持っている方たちなのだと改めて気付かされることも事実です。
どのような仕事に於いても同じかも知れませんが、この介護という仕事にも「楽しさ」や「やり甲斐」を見出せることが必要であり、人手不足にならない介護現場を目指すためにも介護人材の養成に力を注いでいくことが益々必要なのではないかと思えました。